交響曲第5番 嬰ハ短調
オーストリアの作曲家グスタフ・マーラーが1902年に作曲した交響曲。
通称「マラ5」と呼ばれる。
この交響曲、第1楽章、第2楽章が"短調"、
第3楽章、第4楽章、第5楽章が"長調"で書かれている。
これは、ベートーヴェンと同じ図式である。
そのため、マーラーの交響曲の中では理解しやすい交響曲である。
また、第4楽章は映画「ベニスに死す」で使われた事で有名になった。
全3部5楽章構成、演奏時間:約1時間10分
<楽曲構成>
・第1部
・第1楽章 嬰ハ短調
In gemessenem Schritt. Streng. Wie ein Kondukt.
1曲目から葬送行進曲である。
トランペットがやや暗いファンファーレを奏で、
続けて暗くて重々しい行進曲になる。
主題が繰り返されるたびに変奏されて行く。
この楽章中に最初のトランペットのファンファーレが、
何度も登場する。
最後は、静かに曲が終わる。
演奏時間:約13分(11〜15分程度)
・第2楽章 イ短調
Stürmisch bewegt. Mit grösster Vehemenz.
第1楽章と打って変わって、やかましい。
最初は荒波のごとく旋律がうねる。
その後、テンポを落とし、チェロが歌う。
やがて、明るい行進曲になる。
さらに最後になると金管の輝かしいコラールが奏でられる。
このコーラルは後の楽章にも登場する。
ただ、この明るい部分は一時で、最後は不吉な感じに終わる。
演奏時間:約15分(14〜16分程度)
・第2部
・第3楽章 ニ長調
Kräftig, nicht zu schnell.
ホルンの特徴的な旋律で曲が始まる。
それにつられるかのように木管楽器が第1主題を奏でる。
ホルツクラッパーという、
ちょっと変わった楽器を使っているのが特徴。
最後は華やかになり、最初のホルンの特徴的な旋律で曲が終わる。
演奏時間:約18分(17〜20分程度)
・第3部
・第4楽章 ヘ長調
Adagietto. Sehr langsam.
この交響曲中、最も有名な楽章である。
これは映画「ベニスに死す」で使われたからである。
ハープと弦楽器のみで演奏される曲で、
静ひつ感のある美しい曲である。
実は、この曲、マーラーが彼女(アルマ)に捧げる愛の音楽という。
なるほど、それでこんな美しい曲なわけだ。
なお、第5楽章へ続けて演奏される。
演奏時間:約12分(12〜14分程度)
・第5楽章 ニ長調
Rondo-Finale. Allegro giocoso
第4楽章の余韻を残したまま、この楽章に突入する。
ホルン、ファゴット、クラリネットが牧歌のような旋律を奏でる。
この牧歌的旋律が序奏で、その後、
ホルンの下降音型が特徴の第1主題が奏でられる。
続けて、弦楽器による第2主題。
ここで段々フーガっぽくなっていき、
次々音を重ねて行くようになる。
これを繰り返しつつ、時々第4楽章の旋律が見えたりと
面白い曲である。
最後に近づくと、第2楽章の金管楽器のコーラルが華やかに現れる。
最後はどんどん加速し、打ち切りのあと、
金管の旋律で華々しく曲が終わる。
演奏時間:約15分(14〜17分程度)
<楽器構成>
・木管楽器
・ピッコロ
・フルート
・オーボエ
・イングリッシュホルン
・エスクラリネット
・クラリネット
・バスクラリネット
・ファゴット
・コントラファゴット
・金管楽器
・ホルン
・トランペット
・トロンボーン
・チューバ
・打楽器
・ティンパニ
・グロッケンシュピール
・シンバル
・大太鼓
・小太鼓
・タムタム
・トライアングル
・ホルツクラッパー
・ハープ
・弦五部(合計で88人必要)
・ヴァイオリン1
・ヴァイオリン2
・ヴィオラ
・チェロ
・コントラバス
<余談>
はい、21曲目。
ここにきてようやくこの人を紹介できるw
グスタフ・マーラーw
今日(7月7日)はマーラーの誕生日。
ということで、とりあげますたw
マーラーの交響曲はこのシリーズ中に何曲か取り上げるつもりなので、
今回はその1曲目w
僕がこの曲好きな理由は、第5楽章の最後が面白いからw
他のクラシック音楽とは何か違う終わり方をするところが好きw
有名な第4楽章はあんまり好きじゃないw
マーラーの交響曲第5番は、第4番までの声楽入りの、
いわゆる「角笛交響曲」とは違い、純器楽曲の交響曲である。
それゆえ、マーラーは音楽展開を追求する上で、対位法やら、
なんやらかんやら駆使している。
これは後のマーラー作品の特徴とも言える物に進化して行くが、
それは追々書くとしよう。
それでも、声楽が無いとはいえ、
よくよく聞くと歌曲からの引用があったりする。
つまり、マーラーはこの曲を作曲した時はまだ、
歌曲との関連性は失っていないと考えられる。
この交響曲、普通に全部聞くと1時間以上かかるので、
時間に余裕がある人は全部聞いてみてくださいw
<つぶやき>
実は、20曲目より先に、こっちの記事書き始めていたのだが、
「たなばた」といえばと思い立って、急遽20曲目のやつを書いたw