劇付随音楽「夏の夜の夢」
ドイツの作曲家、メンデルスゾーンが1826年および1843年に
作曲した劇付随音楽である。
ネタ元はシェイクスピアの
「A Midsummer Night's Dream(夏の夜の夢)」
である。
序曲(作品21)と劇付随音楽(作品61)の作曲年は異なる。
これは、序曲に感銘を受けたプロイセンの王様の勅令により、
劇付随音楽が作曲されたためである。
そして、元々演奏会用序曲として作曲した作品21を
そのまま劇の序曲とした。
全13曲、演奏時間:約1時間
<楽曲構成>
・序曲
メンデルスゾーンが17歳の時に作曲した曲である。
元々、前述のように演奏会用序曲だった。
また、その前は姉と弾くためのピアノ連弾の曲だったそうな。
17歳の時の作品とは思えない、とても完成度の高い音楽である。
木管楽器による神秘的な前奏に続き、第1主題が演奏される。
まさにファンタジーの世界を表しているという感じ。
ロマンチックである。
最後は、最初の前奏が再び演奏されて曲が終わる。
演奏時間:約12分
・Ⅰ.スケルツォ
木管楽器が軽く踊りのような旋律を奏でる。
全体的に大きくなったり小さくなったりと波がある曲である。
最後は静かに終わる。
演奏時間:約5分
・Ⅱ.情景と妖精の行進
楽譜には情景は「メロドラマ」と書かれている。
スケルツォよりも速いテンポで曲が進む。
いうまでもなく、妖精がほいほい飛び回っている様子を表している。
トライアングルが効果的に使われている。
演奏時間:約1分20秒
・Ⅲ.歌と合唱「舌先裂けたまだら蛇」
ソプラノ、メゾソプラノの各独唱と女声合唱が加わる。
ソプラノとメゾソプラノの対話、ハーモニーが楽しめる曲である。
演奏時間:約4分30秒
・Ⅳ.情景
・Ⅴ.間奏曲
有名な間奏曲である。
全体的に暗い曲である。
演奏時間:約4分
・Ⅵ.情景
・Ⅶ.夜想曲
ホルンの音色が堪能できるノクターンである。
美しい旋律で曲が進行していく。
演奏時間:約7分
・Ⅷ.情景
・Ⅸ.結婚行進曲
お待ちかねの結婚行進曲。
「結婚行進曲と言ったらこれ」というほど有名な曲である。
この曲、ハ長調で書かれてる。
A-B-C-Aという流れで曲は進む。
前半はみんな知ってる、あの旋律。
中盤から、あまり知られていない旋律になる。
最後は、またみんなの知ってる旋律になり、
華やかに曲が終わる。
演奏時間:約5分
・Ⅹ.情景と葬送行進曲
結婚したと思ったら今度は葬送行進曲である。
ファゴットの前奏に続き、クラリネットが悲しげな旋律を吹く。
一瞬、明るくなったと思ったらやっぱり暗くなる。
演奏時間:約1分
・Ⅺ.ベルガマスク舞曲
序曲に出てくる旋律を舞曲化したもの。
演奏時間:約1分45秒
・Ⅻ.情景と終曲
夜想曲がちょっとだけ演奏され、終曲に入る。
序曲と同じ始まり方をするが、
ソプラノ、メゾソプラノの各独唱と女声合唱が入る。
Bメロからは序曲と異なる。
後半は、美しい旋律で、終曲にふさわしい、静かに終わる。
演奏時間:約6分
<楽器編成>
・木管楽器
・フルート
・オーボエ
・クラリネット
・ファゴット
・金管楽器
・ホルン
・トランペット
・トロンボーン(結婚行進曲のみ)
・オフィクレイド(現在はチューバで代用)
・打楽器
・ティンパニ
・シンバル(結婚行進曲のみ)
・弦五部
・ヴァイオリン1
・ヴァイオリン2
・ヴィオラ
・チェロ
・コントラバス
<余談>
はい、17曲目です。
今回は劇付随音楽「夏の夜の夢」を取り上げてみたw
この曲、劇付随音楽としてではなく組曲として
聞いた事がある人のが多いと思う。
序曲、スケルツォ、間奏曲、夜想曲、結婚行進曲で
組曲として演奏されるからね。
結婚行進曲はともかく、
序曲、スケルツォ、妖精の行進が使われているアニメ映画がある。
それは
1996年に公開された映画
「ドラえもん のび太と銀河超特急」
である。
この映画の以下のシーンで使われている。
・汽車が来るシーンおよび汽車に乗ったシーンで「序曲」
・宇宙で盗賊団との戦闘シーンで「スケルツォ」
・コントロールセンターでスネオが行方不明シーンで「妖精の行進」
僕が、「夏の夜の夢」を知ったきっかけは、この映画だった。
そのため、今回取り上げたw
ちょっと気にしてみて見ると面白いと思うよw
<さらにオマケ>
楽器編成の所にある「オフィクレイド」について。
19世紀初頭にフランスの楽器職人が考案した金管楽器の一種である。
形は現代のファゴットのような感じである。
また、サクソフォンの原型とかなんとか。
現代ではほとんど見かけない。大抵、チューバで代用される。
しかし、音域はチューバよりも高いため、バランスを考えるのであれば、
吹奏楽ではお馴染みのユーフォニアムを使う事が好ましいとされている。